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MMRワクチンが自閉症を引き起こすと裁判所が「こっそり認めた」事実はない【PolitiFact】<FIJ翻訳>

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裁判所はMMRワクチンが自閉症を引き起こすと「こっそり認めた」。

―2017年5月29日月曜日, ブロガー

(注:この記事は、FIJPolitiFactの許諾を得て翻訳したものです。他サイト等への転載を禁じます。元記事はこちらをご確認ください。)

―2019年2月11日月曜日, 16:46 Samantha Putterman

最近のワシントンとニューヨークでの麻疹感染拡大に伴い、昔からあるMMRワクチンに関する風説がネット上で出回り始めている。

そのうちの一つは、"ワクチン抵抗運動: 塹壕から届けるVRM 速報 & ニュース"と呼ばれるFacebookグループでシェアされて以降、ネット上に再浮上した風説だ。

Facebookは、偽情報と誤情報をニュースフィードから撲滅する取り組みの一つとして、この記事を虚偽情報と認定した。(詳しくはPolitifactとFacebookの提携関係を参照)。

我々はこの記事が、麻疹、おたふく風邪、風疹に対して使用されるMMRワクチンが起こしうる副作用に関して、読者の誤解を招くと判断した。

alternativenewsnetwork.net に投稿されたこの言説は、実は2013年に WhiteOutPress と呼ばれるブログに投稿されたものと全く同じものだった。当初この言説が出回った際には、Forbesにより反証されている。

この「裁判所が認めた」とする言説の中心にあるのは、自閉症と診断された児童の症状を、その1年前に受けたMMRワクチンと関連付けた2012年のイタリア裁判所の判決に由来する。

この判決は、1998年にThe Lancet誌に掲載され、現在は撤回され信憑性を失ったウェイクフィールド氏のMMRワクチンに関する論文に深く依拠しているが、この研究は意図的に不正な方法で実施されたものであり、科学的にも倫理的にも欠陥があると考えられている。同氏の医師免許は後にはく奪されており、科学者たちは、それ以降の関連した研究でもMMRワクチンと自閉症との間の関連性は示されていない

また同裁判所はマッシモ・モンティナリという医師からの証言を得ている。モンティナリ氏は裁判では児童側に雇われており、子供のワクチン接種を避けるよう親たちに働きかける運動で知られていた。

またモンティナリ氏は著書を出しており、その中でどのようにワクチンが自閉症を引き起こすかを述べ、また彼が発見したと主張する自閉症の“治療法”を宣伝していた、とフォーブス誌が報道している

報道によれば同氏は2017年に6ヶ月の職務停止を受けている。これは患者が多額の金を支払ったといわれる同氏の医療行為に関して、科学的な有効性を証明できなかったためである。

また alternativenewsnetwork.net は、ワクチンの副作用を発症した子供を持つ家族を「黙らせる」ために、政府がお金を払っていると主張している。

しかしこのシステムは実際、国民ワクチン健康被害補償制度(VICP)と呼ばれるワクチンの健康被害状況を評価する確立された制度で、1988年10月1日にThe National Childhood Vaccine Injury Act of 1986により設立された。これはワクチンで予防可能な疫病の再流行の原因にもなりかねない、ワクチン不足とワクチン接種率の低下につながる一連の訴訟の後に設立されたものである。

同制度のウェブサイトには、以下のように記されている

「大半の人はワクチンを接種しても何ら深刻な問題に至りません。しかしどのような薬品にもあるように、多くは滅多に起こらず深刻にならないものですが、ワクチンも副作用を起こすことがあります。そして非常にまれに、ワクチンは激しいアレルギー反応など深刻な問題を起こすことがあります。そのような場合にVICPは、市民の皆さんに、政府に対して請願し、または金銭的な賠償を求める機会を提供します。」

特に自閉症に関して、多くの患者家族からVICPのもとにワクチンが子供に自閉症をもたらしたとの訴えが相次いだため、アメリカ合衆国連邦請求裁判所は集団訴訟に近いような形の包括的な自閉症患者に関する手続きを設立した。

ここでは、3人の専門委員が選出され、患者グループから3人のサンプル評価を行った。最終的に裁判所は賠償を棄却し、訴訟において提出された証拠は、自閉症と、MMRを含む幼少期のワクチン接種との間の関連性を証明していないと結論づけた。

判決から間もなくアメリカ合衆国保健福祉省は、「我々は専門委員の決定がワクチンは自閉症を起こすことはないと、子を持つ親たちが安心できる手助けをすることを願っています」との声明を発表した。

判定

今回の疑義言説は、裁判所はMMRワクチンが自閉症を起こすと「こっそり認めた」とする昔からある風説である。

この言説は、撤回され信憑性を失った1998年の研究に基づいた2012年のイタリアにおける判決に依拠しており、またこの言説は、米国政府が半ば秘密裏に、ワクチンにより自閉症を発症した子供の家族に金銭の支払いを行っている、との誤った主張をしている。

しかし実際には、1988年から国民ワクチン健康被害補償制度というよく認知された制度がワクチン健康被害の評価を行っているものである。

自閉症とワクチンの間の関係性は裁判所と科学的な研究により否定されている。この言説は、裁判所の判決の妥当性を誤って伝え、また不明瞭な例示と根拠の乏しい証拠しか示していない。

この言説は全くのデタラメ(Pants on Fire)である!

(元記事:No, courts did not 'quietly confirm' MMR vaccine causes autism

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